もっと強くなりたい。

25~6歳の頃から、私は人生について深く考えるようになった。
当時、付き合っていた女性がいたのだが、「冷めた。」と言われ、あっさりフラれてしまった。普通なら、「いや、ちょっと待って!もう少し考えて!俺を捨てないで!」とか言うのだろうが(笑)、変に切り替えの速い私は、「あぁ、そう。わかった。」とだけ告げ、あっさりと2人の関係は終わった。

その頃からだろうか。私の周りに変化が起き始めた。突然結婚をする人々が続出していき、妻を持ち、子供を授かり、家族を築いていった。
いつの間にか、わたしは、1人になっていた。それと同時に1人でいる時間が長くなっていた。1人でいてもつまらなかったので、昔から服が好きだった私は、興味のあったヴィンテージ古着を買い漁るようになっていた。

仙台にあるTruevintageというお店。

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当時、やる事がなかった私は、ただなんとなく、カッコ良さそうだなぁという理由で古着を買っていた。古着に関する大した知識もなく、古着に対する思い入れも特になかった。今までの私の古着屋のイメージといえば、愛想の悪いスタッフが無言で店内に立っていて、ただのボロボロの服が売ってあるという、よく意味の分からない、理解のできない領域ではあった。

初めて足を運んだのは、当時付き合っていた女性と行った事がきっかけであり、その時は確かLevi'sのGジャンを買った。絶妙な色合いや、絶妙なサイズ感、絶妙な味があり、それ以来すごく気に入っていて、頻繁に着込んでいた。
私は、ファッションの他にも、歴史を感じるモノや、経年変化や、味のあるモノにすごく興味があり、ヴィンテージ古着には、それらを網羅する"何か"がある。と、直感で感じていた。

言葉では言い表す事のできない"良さ"があり、そういった類いのモノに興味を持つ人とは、自然と会話が弾む。分からない人には全く分からない領域だとは思う。ヤレ感、味、絶妙感、色褪せ感、ダメージ感、風合い、オーラ、質感、しっくりくる感じ、、

これらは服を愛する人には、言葉で言い表す事はなくとも自ずと伝わるのだが、分からない人には、多分、全く分からない。言葉を超えた世界がそこにはあると、私は思っている。
決して理屈ではない語れない感覚が、目を、手を、体を、五感を通して、服を通して伝わってくるのだ。この言葉では決して言い表す事のできない空間が、私にとっては、至福の時である。

普通の人には理解できない良さがある。
私は、こう言った、人には理解できない良さを感じる事が、昔から堪らなく好きで、こうゆうモノを愛する人とは、決して会話は弾まなくとも、同じ時を過ごすだけで、充実感に満たされる。
古着を愛する人は、結構変わっている人が多い。しかも、それを職業にしている人は、かなりハラの座っている人が多い。その人たちと交わす会話が、実に深く、面白い。

お店では結構、人生について語る事が多い。周囲からの無理解や、物事の考え方、恋愛相談や、ポリシーなどについても語る事が多い。普通の一般常識に慣れ親しんでいる人からは理解できない話もバンバン出てくる。
そういった、ちょっと一般的なレールの外を歩く様な自由な生き様にいつしか憧れるようになっていた。

私は、今回、東京に行く事を伝えた。

多分、普通の人には理解できない感覚なので、他の人にはあまり言わなかった。けれども、ここのお店にはたくさんお世話になったし、仙台にいる最後の日くらいは、孤独よりも楽しさに浸っていたい自分がいて、色々と語りたいと思っていた。


スタッフ「東京行ったら、何か変わると思ってるから行くんだべ?」

私「はい。」

スタッフ「いい事だと思うよ。だってさ、40~50歳くらいのジジイになってからさぁ、『人生つまんねーなぁ』なんて言いたくないじゃん。だから、今の内になんでもチャレンジした方いいよ。だから東京行くんだべ?」

私「はい。」


私は、心のどこかで、いつも怯えていた。多分、このお店に来たのも、自分の背中を押してくれる言葉をかけてくれると、どこかで期待していた。曖昧な意志でこんな選択をしてしまっていいのか。という迷いと、うっすらと浮かぶ希望の狭間の中で、私の心は揺れていた。

私は、弱い。もっと強くなりたい。

仙台にいる、最後の日に私はそう思った。
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藤忍賢(Motokatsu Sato)
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